知られざる「海外駐在」というポジションについて

転職

こんにちは。ダオです。
業種にもよりますが、日本で就職して人事異動の一環で海外に転勤になるケースは少なくはないものの、その数は一握りです。なかには「会社の金で海外で優雅に生活している」と、一面だけを見てしまう方もいると思いますが、私の実例を紹介したいと思います。

海外駐在になるメリット

給与ベースは確実にアップする

その昔は「○年海外勤務をすれば家が建つ」と言われるほど海外駐在者の待遇は良いとされてきましたが、近年数多くの企業が海外へ進出したため、海外駐在者の待遇はそこまで良いものではないと思います。私が所属する会社では日本と海外でそれぞれ支給され、総額は日本にいる時と比較し、2-3割増しです。

私のように物価の低い国へ派遣された場合はいいですが、物価が高い欧米やシンガポール等に赴任すると割増分のメリットが少なく、為替が急変すると生活が苦しくなることもあると聞いております。万一あなたに海外駐在のオファーが来たら、派遣国によっては為替のリスクヘッジ方法を確認することをオススメします。

通勤や移動は社有車があてがわれる

日本の首都圏のように公共交通機関が充実していない国が多いため、車での移動が多くなります。私が知る限り、公共交通機関を利用しないで通勤、移動する場合、会社側は以下のような待遇を提供します。

  • 運転手付き社有車を支給
  • 運転手付き乗り合いワゴンで通勤
  • 会社が社有車のみ支給し、駐在者が運転
  • 駐在者が車を購入し(会社は一部補助)、自分で運転

タイに関して言えば日本人の駐在者が増えたことから、乗り合いの対象者が以前よりも上のポジションにまで及んできています。例)昔は課長クラスは1台支給されたが、今は部長レベルまでしか支給されない

社宅は日本よりも良い住環境

企業としては日本から駐在者を派遣するにあたり、安全性が高い住居を提供する必要があることから、大抵は外国人が住むエリア(都心部)に済むことになり家賃もかなりの額になりますが、会社負担です。家族での居住費10万円として、この負担が無いだけでもかなりのメリットです。

20年近く前の話になりますが外務省に勤め、アルゼンチンに1人で駐在している友人を訪ねたことがありますが、2階建ての5-6部屋ある一軒家に住んでおりました。流石にひとり暮らしでここまで大きいと持て余しますが、治安等を考慮するとこのような物件にならざるを得なかったそうです。

能力の幅が広がる

海外駐在の人員は限られています。少ないメンバーで本社からの指示への対応、報告を取りまとめる必要があります。日本では営業、経理、製造管理等の専門でも、海外では自分の専門外に取り組まざるを得ません。色々と苦労はしますが、会社がどのように運用されているかを良く理解できます。

その他

この他にも駐在者となるメリットは以下のようなものが挙げられます。

  • 携帯電話支給、原則使い放題
  • 外国なので、同じ苦労を共有する仲間として顧客と仲良くなりやすい
  • 海外駐在する方は大体出世するので、偉くなる人とコネが作りやすい
  • 年に1-2回会社の経費で帰国できる(家族分の渡航費も負担してくれる)
  • 子供の学校も会社負担(日本人学校は私立で、かなり高いです)

 海外駐在になるデメリット(リスク)

海外駐在員ってメリットしかないやん!控えめに言って最高やないか!

と思う方は多いと思いますが、もちろんラクなことばかりではありません。

日本語で生活できない

ストレスを感じる方はかなりのストレスだと思います。その昔リタイア後に生活費の安い東南アジアに移住するシニアが数多くいましたが、大半は日本語しか話せず、言葉が通じない環境にストレスを感じて帰国したそうです。日本語しか話せない方は覚悟をした方がいいですね。

食生活が合わない

これも結構ありがちです。海外でも日本食はありますが大体高く、クオリティもイマイチです。駐在員の給料がいいからといって、毎日日本食レストランで外食するのはかなりの出費となります(エンゲル係数は高くなりがち)。現地の食事を食べられないと、日本食のない地方に行ったときにも困ります。

狭い日本人社会

日本人がよく行くレストランや施設は限られるため、自然と生活エリアが重なることになります。食事、買い物、飲み等、どこに行ってもお客さんと顔を合わせるケースは多いです。お客さんとの会話でも、「先日〇〇さんを□□で見かけたけど、ウエイトレスにずいぶんと横柄な態度を取っていた」等噂になってしまうこともあります。(そもそもそんな事はするべきではないですが)

 更に狭い会社社会

現地の会社や工場の規模にも依りますが、1つの会社で駐在者は1-30人程です。私が駐在した会社は2-3名だったので、自分以外の日本人とどれだけ関係を良好に保つかが重要になります。人数が少ない分距離が近くなり、過ごす時間もながくなるので、日本で働くよりも逃げ場が少ないです。余り関係が悪くなり過ぎると、力関係によって帰任させられるというケースも多いです。

アホみたいな日本からの対応

駐在者は数が限られている一方で、日本から連絡してくる担当者は数限りなかったりします。またそのなかの最低半分は世界には時差があって、カレンダー(祝日)が同じではないことを知りません。自分達の都合に合わせて休日でも、早朝でも平気で連絡してきます。

また、日本からは大真面目に要求してくる情報がこちらにとっては重要性が全く理解できない、バカげた要求だったりして現地スタッフへ情報収集の依頼をするのも嫌になるようなリクエストは数多くきてうんざりします。

出張者アテンド

きちんとした目的を持って出張してくる方はウェルカムですが、「遊びにに来たの?」という方も数多くいます。私の場合月の半分以上を出張者が来ており、そのアテンドや、アポ日程調整、レストランの予約等の雑務に忙殺されます。

大体何しに来たかよく解らない人程ドヤ顔で「ご指導」いただいたりして、密かに、でもしっかりした殺意を抱いたりするのは駐在員あるあるです(笑)

結局のところ海外駐在員はどうなの?

もしあなたが会社から海外駐在の打診を受けて迷っているのであれば、受ける事をオススメします。待遇より何よりも、海外に滞在して仕事をしたという経験は他の何物にも替えられません。あなたがその会社に留まり上を目指すのも、新天地に活躍の場を求めるにも経験はマイナスになりません。

また、外から日本を見て「日本の常識は世界の非常識」を身をもって体験することもきっと役に立つ時が来ると思います。

駐在員は楽しいこともありますが、辛いこと、悔しいこともたくさんあります。それら全てひっくるめて、あなたの財産となることは間違いありません。

海外で働く方法では海外駐在と現地採用という方法があります。これらのメリット・デメリットを解説しておりますのでご覧ください。

海外は日本の本や雑誌を手に入れるのはお金がかかるので、お手軽に読書をするならKinle端末購入をオススメします。